あまり知られていないのだが、シャツの衿には膨大な数の形が存在する。

シャツの“顔”となる部分だけに、古くからウェルドレッサー達が競い合って注文した結果では、と推測されるわけだ。

ただ現在においては、大別すると、それはワイドなのかナローなのか、ショートなのかロングなのかとなってしまうし、変わり衿の類でもボタンダウンやピンホールなどはあるにしても、それほど多くは存在しなくなってしまった。

ところで、シャツにはなぜ衿があるのだろうか?

その答え(あくまでも僕の中の答えだ)は、また別の機会に取っておくとして、そんなことを疑問に思った僕は、色々な資料を調べた時期がある。

どんな資料だったか覚えていないが、一際眼を惹く形があったのを思い出し、記憶を頼りにパターンを引いたのが冒頭の写真の衿型だ。

ピンホールカラーではあるのだけど、フロント部分が特徴的で、衿先にかけて外側に逃げる様なデザインになっている。

ピンホールカラーは、ほとんどの場合、いわゆるレギュラーピンホールか、ラウンドピンホールの2つに限られている。

そんなこともあって、僕の脳裏に強くに残っていたのだと思う。

さて、最近出来た知り合い、フランス人のゴティエさんが、この衿型を大変気に入ってくれてシャツを作りに来てくれた。

衿の形以上に特徴的なヒゲに目を奪われてしまうが、それでもシャツの衿のデザインが独特なことが分かって頂けるだろう。
シンプルなグラフチェックのシャツ生地は、どちらかと言えば平凡な柄の部類になるのだが、衿の力強さとのアンバランスなところが非常にイイと思う。

本人も、「超気持ちイイよね~」と流暢な日本語で語っていたのだから、ご満足頂けたのだろう。

ひとつ、面白い話がある。
彼が作りに来てくれた時のこと、僕が勝手に彼の名前のUHLHORN(ウルホーン)から取って、「ウルホーンカラーだね」なんて呼んでいたものだから、そのままウルホーンカラーとインスタグラムに投稿してしまったのだ。

それを見た方から、「こういう衿の形をウルホーンカラーって言うんですね。知らなかったです。」とコメントが来てしまった。

非常に分かりづらい表現をしてしまったことに、申し訳ない思いだったのだけれど、それなら、一層このまま衿型の名前にしちゃおうってことで、フォーボタンズでは、この衿の形を、“ウルホーンカラー”と呼ぶことにしたわけだ。

そう、確か初めてお店を訪れてくれた彼は、自分の名前を告げると共にあるイラストを見せてくれた。

大変由緒あるだろうと思われる紋章で、梟が角に止まっていた。
その紋章を見せながら、「梟と角、オウルとホーン、これが僕の古くからの名前なんだ」と。

大体において、物の名前なんてこんな具合に付けられるのだろうと思うけど、独創的なシャツの衿型に相応しい名前で、僕個人は大変気に入っている。

今は まだ、彼には内緒で拝借させて頂こう。

吉祥寺の仕立て屋 オーダースーツのFOUR BUTTONS(フォーボタンズ)
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