「一生物」と言う言葉がある。

ー 長く使うことが出来る。
ー 生涯に渡って使い続けることが出来る。

という意味なのだが、今回は、まさに一生物という言葉に相応しいご注文を頂いた。

さて、「床よりも明るい色の服を着るな」、このセリフに聞き覚えはないだろうか?

おそらく、このセリフを聞いて何の映画だったかピンとくる方は少ないだろう。

作品の中では、他にも名セリフ的なものがあったはずだが、どういう訳か、僕はこのセリフを強く記憶していて、今回のお仕立てでも随分と役に立つことになったのだ。

その映画というのは、あの「レオン」だ。
日本公開当時のキャッチフレーズは確か、「凶暴な純愛」だったと思う。

ご存じの通り、プロの殺し屋 レオンと少女 マチルダの純愛の作品だ。
調べてみると、1994年製作の作品とあったので、初めて見たのは高校生の時だったのかもしれない。

そう、今回のご注文というのは、「レオンが着ていたコートを仕立てたい」という依頼だ。

なんでも、「午前10時の映画祭」というものがあって、過去の名作を劇場で上演しているのだが、つい先日、スクリーンで「レオン」を見て、あのコートにひと目惚れしてしまったということだ。

確かに、レオンのファッションもそうだったが、ナタリー・ポートマン演じるマチルダのコーディネイトセンスは抜群で、いわゆるチープシックを12歳の少女が体現していた。

また、忘れられないのが、ゲイリー・オールドマン演じるスタンスフィールドのスーツスタイルだ。

当時(今もそうだが)、全くと言っていい程スーツについては分からなかった僕だが、あのベージュのスーツの着こなしに強い憧れを持ったのを覚えている。

リュック・ベッソン監督作品は、秀逸なファッションスタイルで、どの作品をとっても見ているだけでも面白い。

さて、レオンのコートだ、僕自身「レオン」を見たのは随分昔のことで、漠然とした記憶しかなかった為、早速ネットから画像を検索して、あらゆる角度から二人して研究することにしたわけだ。

しかし、作品中でもコートを着ているシーンが少ないことから、細かいディテールまでは調べ上げることは出来なかったのだが、足りない部分は、これまでの経験と勘を頼りに、生地の選定からシルエット、デザイン、付属などをなんとか補うことが出来た。

特に苦慮したのが、コートのボリューム感だ。

作中でレオンが着ているコートは、かなりのオーバーサイズで、それはジャン・レノの身長と体格があってのこと。

お客様の体型にそのままトレースしてしまうと、ただバカデカイだけのコートが出来上がってしまう恐れがあったので、あくまでもオーバーサイズでありながら、体型に合わせて上手くバランスを取っていくことを心掛けた。

出来上がりはというと、いかにもタフそうな生地の厚み感、本来の肩より大きく垂れ下がったボリュームある肩幅、くっきりと印象的に利かしたステッチ、画像から計算して割り出した丈のバランス、それに、床よりも明るくはない色の、見事な殺し屋のコートが出来上がった。

コートは、手入れと保管方法に気を配ってさえいれば、そう簡単にヘタるものではない。
今回の様に、細部にまでこだわって注文したものであれば、愛着が湧くし、なにより大切に着て頂けるだろう。

実は、「一生物」という言葉には、「-大切にし続けるもの。」という意味もあった。

そういった意味では、生涯に渡って、これから冬の相棒に相応しいお仕立てになったのではないだろうか。

今回のお仕立てもまた、僕の中では大変思い出に残る「一生物」のお手伝いとなったわけだ。

吉祥寺の仕立て屋 オーダースーツのFOUR BUTTONS(フォーボタンズ)
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